ポラシュ/10歳/町工場 ポラシュ/10歳/町工場

バングラデシュ南部の中心都市ボリシャルの町工場で働くポラシュ(10歳)は2年前に農村から単身でやってきた。「本当は村で家族と暮らしたいが、働く以外に家族が生きる方法はなかった」。ポラシュが生まれ育った村は貧しかった。サイクロンや洪水などの自然災害の時だけでなく、常に食料は不足していた。何日も食事をとれなかったときに空腹で眠れなかったときのことを「怖い」とポラシュは表現した。飢えの経験が10歳のポラシュを労働に駆り立て、その結果子どもとして過ごす時間を失った。農村では単に口減らしのために子どもを都会へ働きに出す家庭が多く、学校はわずか1、2年で中退してしまうことが多い。その親も学校に行っていないので、現実の前に教育の優先度が下がってしまいがちだ。

(フォトジャーナリスト 渋谷敦志)

児童労働とは

危険・有害で、子どもの健やかな成長を妨げる「児童労働」。 人身売買、子ども売春やポルノ、借金による労働、 危険・有害労働、子ども兵士、家事労働… 形はさまざまですが、世界の子どもの7人に1人が 「児童労働者」と呼ばれ、今日も懸命に働いています。

「最悪の形態の児童労働」とは?

「最悪の形態の児童労働」とは、ILO182号条約に定められている、撤廃に向けた即時の行動が求められる児童労働のことです。債務労働、人身売買、子どもポルノ・買春、子ども兵士、危険・有害労働等を指します。日本は2001年にこの条約を批准しました。つまり、世界の児童労働をなくすために協力する、と約束をしています。

2010年は、児童労働にとって重要な年!

国際労働機関は、4年に1度、世界の児童労働の全体像を把握するレポートを発表しています。この「グローバルレポート」が、今年5月に発表される予定です。前回2006年には世界の児童労働は「2億1800万人」でした。そこからどのような変化があるのか、児童労働撤廃の動きはどこまで進んでいるのか、このレポートに注目が集まります。

さらに今年は、5月10日、11日にオランダのハーグで児童労働問題についての国際会議が開催されます。ここでは、各国代表、国際機関やNGOが集い、2016年までに「最悪の形態の児童労働」をなくすためのロードマップが作成される予定です。

児童労働撤廃に向けて世界が動いていく中、日本でもこの2010年に児童労働のことを知り、自分にできるアクションを起こす人が増えるよう、本キャンペーンではアクションリスト、署名、イベントなどみなさんが参加できるメニューをそろえています。
ぜひ、キャンペーンにご参加ください!

 

世界の働く子どもたち 

アルジュ/12歳/サリーの機織工場

アルジュ/12歳/サリーの機織工場
ダッカにあるサリーの生地を織る工場で見習い工をしているアルジュ(12歳)。夜8時半ごろ、職人が帰った後に機織り機にからまった綿を取り除いている。見習いの月給は700タカ(約1000円)だが、熟練した職人になれば3000タカ(約4300円)以上稼ぐことができる。午前7時からマドラサ(イスラム神学校)で学び、9時からは工場で12時間以上働く苦学生だ。将来はサリー職人になりたいという。

(渋谷敦志)

スマ/5歳/レンガの粉砕場

スマ/5歳/レンガの粉砕場
ダッカで建築資材用にレンガを砕く少女スマはまだ5歳。炎天下、自分の腕ほどの大きさのハンマーで黙々とレンガを粉砕する。12時間働いて、日給はわずかに30タカ(約40円)。スマの側で働く母親は幼い娘を働かせることを良く思ってはいないが、家族が1日食いつなぐのに、30タカはありがたかった。スマの母親に話を聞いているときに現場監督が現れて撮影を断念したが、そこには見るからに10歳に満たない子どもたちが何人も働いていた。大人が労働するときに子どもを職場に連れてこざるを得ない事情があるとしても、雇用主が賃金の安い子どもを、大人にとってもきつい労働環境で長時間働かせる最悪の形態の児童労働だ。現場監督には少なくともその自覚はあったようだ。

(渋谷敦志)

ナズマ/6歳/ごみ処分場

ナズマ/6歳/ごみ処分場
ダッカのゴミ処分場で資源ゴミを探すナズマ(6歳)。早朝5時から働き、集めたガラスやプラスチックなどを換金して家計を支えている。怪我や病気のリスクを背負って得られる収入は1日30タカほど(約40円)。日が昇って気温が上がると帰宅し、弟たちの世話をして母親を助ける。「今年から学校に行きたかったけどまだ無理。来年からは学校に行きたい」。ここにはたくさんの子どもたちが働いているので寂しくはないようだ。ゴミ処分場で働く子どもたちに一番つらいことは何かを聞くと、「豚のえさを漁っていると差別的な目で見られること。汚いと言われてバスに乗せてもらえないことある」といった。

(渋谷敦志)

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