児童労働とは

いま、世界の子どもの10人に1人が「児童労働者」

子どもらしい成長を妨げる「児童労働」

児童労働とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働のことです。劣悪な環境での長時間労働、借金の肩代わりとしての強制労働、人身売買による性産業、戦争にかりだされる子ども兵士など、子どもらしい成長を妨げるものです。2017年現在、世界では1億5200万人が児童労働に従事し、世界の子どもの10人に1人が働いている計算になります。児童労働が起こる背景には、貧困、教育機会の欠如、子どもを働かせる社会・文化的な習慣など複雑な要因がからみ合っています。

日本にいる私たちと児童労働の関係

私たちが身に着ける洋服はどこから届いているのでしょう?
コットンを育て採取、そこから糸・布にし、切って裁縫して、私たちは洋服を身に着けることができます。1つの洋服を見ても、もしかしたら、コットン採取の国と裁縫する国、洋服を身に着ける国はそれぞれ別の国だったりします。
そんな世界で生産されるコットンは、年間約2,600万トン。約80ヵ国の1億人の手によって作られています。中でも生産一位を占めるインドでは、コットン種子生産において48万人の子どもが働いているという報告もあります。また、ファストファッションの縫製工場が多くあるバングラデシュでは、児童労働だけでなく、労働者の人権に配慮されない環境で縫製作業にあたっていたという報告もあります。
日本は現在繊維製品の約4割をコットンが占めています。私たちの衣類や生活にとってなくてはならないコットン。洋服が届くまでには、たくさんの工程があり、たくさんの人の手を通って私たちの手元に届くのです。もしかしたら、私たちが着ている洋服には、そんなインドの子どもの手摘みされたコットンから作られているのかもしれません。

児童労働者は世界に何人いるの?
(児童労働の人数)

国際労働機関(ILO)は4年に一度、世界の児童労働者数の推計を発表しており、2017年9月に発表した報告書”Global Estimates of Child Labour: Results and trends, 2012-2016″によると、2016年時点の児童労働者数(5歳-17歳)は、1億5200万人と推計しています。これは世界の子ども(5歳-17歳)の10人に1人にあたります。児童労働者の半数近くの7300万人が、危険労働に従事していると言われています。

児童労働はどの地域に多いの?
(児童労働の地域分布)

世界の児童労働者の約半分は、アフリカに存在し、およそ5人に1人がこの地域では児童労働者です。2013年の発表では、最も絶対数が多かったのはアジア太平洋地域だったのですが、アジア・太平洋地域の改善スピードが速く、逆にアフリカは、悪化しています。

どの産業で一番多く働いているの?
(児童労働の産業別人数)

世界中で子どもたちはあらゆる種類の労働をしています。路上でモノ売りをしたり、物乞いをしているストリートチルドレンや、工場で働かされている子どもの様子を新聞やテレビで見たことがあるかもしれません。 産業別にみると農業セクターが最も多く、全体の約70%を占めています。

農林水産業(70.9%):世界の児童労働の約70%は農林水産業に集中しています。コーヒーや紅茶、ゴム、タバコなどのプランテーション(大規模農場)で労働者として雇われていることもあれば、家族が貧しい農家でカカオやコットンなどの換金作物や食糧となる作物を生産して、家族の生活を支える子どもたちもいます。金や希少金属などを採掘する鉱山労働や漁業などもこの分野に含まれます。

工業・製造業(11.9%):バングラデシュの縫製工場やインドのマッチ製造工場、タイやミャンマーのエビ加工工場でも児童労働が問題となりました。工場だけでなく家庭内でおとなと一緒に作業をするようなものもあります。例えば、洋服の飾りとしてビーズを縫いつける仕事、インドやパキスタンでのサッカーボール縫いの児童労働は有名です。

サービス業(17.2%):路上でのモノ売り、車の窓ふき、市場でモノを運ぶ仕事、廃棄された電気製品の解体作業、他人の家で家事使用人として働く子どもたちはサービス業に含まれます。

出所:ILO ” Global Estimates of Child Labour: Results and trends, 2012-2016″